32コア64スレッドの驚異的なスペックをひっさげ、CPU市場を荒らしまわりそうな「第2世代Ryzen Treadripper」。この怪物CPUを冷却するには、一体どの程度の冷却能力が必要なのでしょうか。また、果たして現行のCPUクーラーで冷却する術はあるのでしょうか。
第2世代Ryzen TreadripperのTDP
第2世代Ryzen TreadripperのTDPは未だはっきりしていませんが、250W以内に収まるのではないかという情報が出ています。これはRyzen Treadripperを取り巻くプラットフォームの冷却能力が最大TDP250Wを想定しているからです。
第2世代Ryzen Treadripperは、初代の物理コア・スレッド数を単純に倍にしたスペックであり、それにならうならTDPも2倍の360Wになります。
しかし単一のCPUでTDP360Wというのは聞いたことがありませんし、水冷でも満足に冷やせるか疑問です。そのため、現実的なラインとして240W以内になるだろうと噂されています。
TDP240Wを冷却できるCPUクーラーは?
では第2世代Ryzen TreadripperのTDPが240Wだとして、これをしっかり冷却できるCPUクーラーがどれだけあるのでしょうか。今回は代表的な空冷モデルをピックアップします。
Noctua「NH-U9 TR4-SP3」
サイドフロー型でデュアルファン形式の大型CPUクーラーです。ハイエンドCPU向けのCPUクーラーとして定評のあるモデルで、Ryzen Treadripperの「socket TR4」に対応しています。TDP240Wまで対応できるとは名言されていませんが、現実的にはこのクラスでなければ満足に冷却できない可能性が高いですね。
Arctic「Freezer 33 TR」
6本のヒートパイプをダイレクトにCPUに接触させるという、一風変わった仕様を持つCPUクーラーです。TDP200W~320Wの冷却が可能なうえ、Ryzen Treadripperに正式対応していることから、第2世代Ryzen Treadripperの冷却にも使えそうですね。
高い冷却能力とは裏腹にスリムタイプのサイドフロー形式で、黒ベースのデザインも秀逸。個人的には最も欲しいCPUクーラーです。
Cooler Master「Hyper 212 EVO」
こちらも台座部分とヒートパイプ部分を一体化させた「CDC(Continuous Direct Contact)」で冷却能力を向上させているタイプです。スリムタイプのサイドフロー形式で、Arctic「Freezer 33 TR」と根本的な仕組みはよく似ています。
別売りファンの増設で手軽にデュアルファンにできる「クイックスナップファンブラケット」も便利ですね。対応TDPは明示されていませんが、台座の仕組みから考えると第2世代Ryzen Treadripperの冷却も可能だと感じます。
水冷必須になる可能性も
このように、表面積と発熱が大きい第2世代Ryzen Treadripperを冷却できる空冷CPUクーラーは、数に限りがあります。Ryzen Treadripper対応のCPUクーラーは30種類前後ありますが、その大半は水冷です。
したがって、事実上水冷必須のCPUになる可能性もあるわけです。最近では簡易水冷でも十分な冷却能力を持っていますから、この機会に水冷への入れ替えを検討しても良いかもしれませんね。