AMD製CPUの中でも独自路線を行くのがAPUです。最近は続々と登場する次世代CPUの陰に隠れがちですが、バランス型のPCであればAPUは非常に優秀な代物。
今回はAPUの最新モデル「Bristol Ridge」世代のA12-9800Eにフォーカスしてその魅力を解説します。
AM4対応のAPU「A12-9800E」が単品入手可能に
AMDの最新APU「A12-9800E」の単品販売が2017年9月から始まっています。組み込み用としては2016年から登場していたものの、単品で購入できるようになったことで自作パーツ選びの幅が広がるでしょう。
APUはCPUとGPUを統合したパーツであり、「そこそこのCPU性能と内蔵グラフィックス以上のGPU性能」が売りです。APUを搭載すれば、調べもの用から動画閲覧用、ライトゲーム用まで幅広いPCが作れます。
そんなAPUの最新製品「A12-9800E」は、実売価格が13000円前後。最新世代のパーツとしてはかなり安い部類ですね。
A12-9800Eの実力は?
2014年に登場したAPUの前世代モデル「A10-7850K」と比較すると、A12-9800Eはどの程度の性能向上を果たしているのでしょうか。
AMDファンとしては心苦しいところなのですが、実際には体感できるような性能向上がありません。しかし、特筆すべきは性能よりも省電力性です。
TDP35Wという圧倒的な省電力&低発熱設計で、かつての上位APUと同等の性能を、少量の電力で実現できます。また低発熱なので排熱にも苦労せず、静音PCの制作がぐっと楽になるでしょう。
静音HTPCには最適なAPU?
個人的な意見にはなりますが、CPU+GPU性能のバランスと省電力&低発熱が持ち味となれば、HTPCにぴったりです。
HTPC(Home Theater Personal Compute=映像再生メインのホームシアター用PC)はできるだけ騒音が少なく、低消費電力で動作するCPUが好まれます。
確かに映画鑑賞の最中にファンが高回転しては、雰囲気が台無しですからね。こういったHTPC需要のせいか、販売開始からしばらくは完売が続出していました。
アニメや動画再生で威力を発揮する「Fluid Motion(流体モーション)」のモード2を使えるというメリットもあり、末永く稼働できそうなAPUですね。
ゲーミングPCとは別に動画再生、観賞用のサブマシンとして「A12-9800E搭載PC」を作ってみてはいかがでしょうか。