ゲーミングPCの小型高性能化が進む今、CPUクーラーも変化を迎えようとしています。ここ数年は高さのあるサイドフロー型のCPUクーラーが主流でしたが、これらは小型ケースに格納できません。
しかし、小型のゲーミングPCはどうしても熱処理の問題を抱えてしまうため、高性能なCPUクーラーは必須です。こういった流れから、背が低くても冷却能力の高い、トップフロー型のCPUクーラーが見直され始めています。
中でも、ロープロ対応のCPUクーラーは、これからのゲーミングPCにとって重要なアイテムになりそうですよ。
ロープロ対応CPUクーラー「SST-AR11」
有名パーツメーカーSilverStoneから、ロープロ(LowProfile)対応のCPUクーラー「SST-AR11」が発売されました。高さはファンを含めて47mm。5センチに満たない厚さですから、かなり省スペースですね。最近の大型サイドフローCPUクーラーなら、この倍以上の高さになります。
また、このAR11では、トップフロー型CPUクーラーの難点でもあった「周辺パーツへの干渉」を極力抑えていることもポイントです。具体的にはヒートパイプがヒートシンプからはみ出ないように、埋め込まれるような形で設計されており、メモリやチップセット、コードに干渉しづらくなっています。
○SST-AR11の主なスペック
冷却ファン…92mm径、PWMタイプ
ファン回転数…1,200~3,000RPM
最大風量…55.76CFM
最大ノイズ…44.5dBA
本体サイズ…97(縦)×47(高さ)×97(横幅)mm
重量…290g
ちょうど綺麗な正方形で、厚さが5センチ未満、というCPUクーラーをイメージしてもらえれば良いでしょう。TDP95WまでのCPUに対応しているとのことですから、第8世代Core iシリーズやRyzenにも十分ついていけるスペックです。
CPUとのセット購入がおすすめ
最近はリテールクーラー(CPUに標準で付属するクーラー)がないCPUが増えています。例えば、Core i7 8700KにはBOX版であってもクーラーがありません。
そのため、CPUクーラーを別途購入する必要があるわけです。第8世代Coreシリーズは物理コアが増えた半面、TDPもやや高めですから、温度管理には注意が必要。ロープロ対応であっても、しっかりと冷却能力を確保できるCPUクーラーを選定すべきです。
例えばmini-ITXでゲーミングPCを組むのなら、CPUクーラーのファンは、ケース内のエアフローを決定づける重要なパーツになります。CPUだけではなく、マザーボードやメモリの冷却も担うことになりますから、それなりの性能が求められるでしょう。
簡易水冷よりも手軽に導入できる
また、ロープロ仕様なCPUクーラーは、簡易水冷よりも導入がたやすいというメリットがあります。同じく小型高性能ゲーミングPCでは、高さの制限がかかりにくい簡易水冷が有力候補になりますが、水冷だけあって価格も手間もかかるわけです。
さらに、CPUは良く冷えるけれどもマザーボードやメモリの冷却に難が出る可能性もあります。これはケースの性能にもよりますが、簡易水冷といえでも万能ではないのです。どのサイズでどの程度の性能を実現したいかによって、空冷と水冷を適切に選択していきましょう。